Chapitre01 Madeleine
8月のバカンスを除いて、この6月から9月までは、
大きな結婚式の装花が続々と続く、我らがバティスト。
その口火を切る大きな結婚式が、パリから南へ160キロ離れた
とある田舎町であった。
お店でこしらえた卓上装花以外は、
かすみ草500本、大きな鉄のスタンド2体のみという内容。
トラックに積み込んで、さて、はるばる2時間かけてやって来た。
まず、会場近くの村の中にある小さな教会の飾り付け。
そこでは、持って来たスタンドとかすみ草を下ろした。
小さくも味のある教会の中央に備え付けられた鉄格子に
そのスタンドを固定させて、手際よくオアシスを積み立てるバティスト。
やがて出来上がった土台の表側に、持って来たかすみ草を
勢い良く生け始めた。かなり大きなアレンジが3分もしない間に
仕上がっていく。
「ケン、裏に座る人も居るから、同じように生けて。」
と、突然の指令。
あなたの早さにはついていけないです、と言いたかったが、
負けじと3分少々で完成。
それを同じようにもう1台作って完成。
相変わらずシンプルで迫力のアレンジの作る方である。
しかし、この後、さらにびっくりする行動に出る。
場所を移動し、近くの、会場となる大きな施設に入り、
メインとなる大きな白いテントの中を確認した途端、
会場の地主の許可を得て、森の中へと入っていくぼくとバティスト。
目的地に着き、車からおもむろに取り出したのは、チェーンソー。
そう、今回、お店から何も持ってこなかったのは、
この森で木を切って飾るためであったのである。
「ブウーン、ブルルーン」
おおきなバイクのような音を立てて、
慣れた手つきで次々にお目当ての木を切っていくバティスト。
その横で倒れて来る大木を受け止めるぼく。
白樺の細い木を主に切り倒すこと、40本。
トラックに溢れんばかりの木が集まった。
さて、再び会場入りし、切って来た木を運び入れ、
それを会場内部の壁に次々に括り付けていく。
20分もしないうちに、殺風景だった会場が
緑で溢れんばかりの、さわやかな雰囲気になった。
ここで、しばし休憩。
この日のためにパリから集まったあらゆる業者さんが
みんな庭に集まって即席バイキングを楽しんだ。
ぼくは、落ち着いて会場の周りを見渡してみた。
それはそれは、これ以上にない、
見事な自然の景観に恵まれた場所だった。
こんなにも素敵な場所で、明日になれば、結婚する二人は祝福され、
大らかに流れる小川と、優しく並び立つ木々の中で
忘れられない時間を過ごすんだろう。
きっと二人はその時間を大切にすることで
これからもずっと幸せにやっていけるはずである。
日本に持ち帰って、これから結婚していく人達にも
是非味わってもらいたいと思うほど、
結婚式のあり方を考えさせられた。
さて、すべての土台が完了して、あとは卓上装花を置くのみと
なったところで、カメラが突然の電池切れ。
残念ながら、この出来上がった壮大な風景はお伝えできませんが、
頭いっぱいに想像を膨らまして楽しんでください。
最後に。
結婚する二人にたくさんのしあわせがありますように。
*注 今回は森の地主の許可を得て木を切っています。
森の木は、大切に。