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Chapitre 01 Strasbourg - Saint Denis

ここに一枚の絵がある。

ひょっとして、見覚えがある方もいるかもしれない。
10年ほど前、「花時間」という雑誌に、
今ほど注目されていなかったパリの花屋さん特集の
記事が載っていた。

ちょうど、ぼくも花屋になって2、3年経った頃だ。
そして、その特集の中に、この絵が飾ってある花屋さんが
取り上げられていた。
ぼくは、この絵が飾られた花屋さんの店の雰囲気に
とても感動して、いつかこんなお店が持ちたいと願った。

そして、いつか自分がそんなお店を持ったときにと思い、
この写真の絵を油絵で模写して、出来るだけ忠実に再現して、
その出来た絵をいつかそんな自分のお店に飾れる日を夢見て、修行していた。

その絵は、気がつけば実家の倉庫に追いやられてしまったのだけど、
それでも、頭の中には、それがボクの理想として、
ずっとあり続けていた。

さて、話は変わって、バティストでの初日を迎えた。
彼は、ぼくに初日から、入っていた注文のブーケを
大方すべて作らせた。
おそらく何かを確認するためだったのだろうけど、
どこまで応えるべきかも分からなかったので、
とにかく持ち得るすべての自分の花をだして、
あとは、とにかく素早く仕上げる事に専念した。


感じた事を言うと、パリは、花屋が職人として位置づけられている。
日本の流行のように、奇をてらったもの、モダンと言われるもの、
見た目のお洒落ばかりが先行した仕事とは違い、
とにかく素早く、そしてその中でも、一本一本の処理をきちっと施し、
仕上げる形も徹底して綺麗く保たれている。

そこそこの時間のなかで、繊細で分かりにくい物は、
誰にでもつくれるけれど、それでは花屋が花屋である意味が無い。

自分は、日本にいたときから、仕事の手際は人一倍よい方だと思っていたが、
バティストの仕事っぷりを見ていると、
まだまだ自分には余計な動きが多い事に気づかされる。

そして、バティストの、そんな仕事をこなす背中を見ているだけで、
学ぶ事が山ほどある事を、改めて想う。


さて、話は戻って、その初日。
作業場に入って行くと、
オーナーの部屋のドアに一枚の絵が飾ってあった。

ぼくは、夢を見たように、一瞬立ち止まって、動けなくなった。

そう、ぼくがこの10年、ずっと目指していた、
あの日、あの本で見た、お花屋さんの絵だった。

ぼくは、すうっと寒イボが立ち、そして、

ほっとうなづいた。

そういうことなのだ。

いろんな道を通ってきたけれど、
長い時間をかけて、ひとつ夢が叶っていたのだ。


コメント (10)

macky:

偶然って必然なんですね。。
私も寒イボたちましたっっ。

しずく:

私が苦楽園のお店を知るきっかけとなったのは雑誌の素敵なお花屋さん紹介のページでした。それまで何度も足を運んでいた苦楽園なのにお花屋さんはノーマークで どうしても雑誌に載っていた花束が素敵でぜひ!と思い行ったのが初めでした。苦楽園に こんな素敵なお花屋さんがあったなんて...と衝撃的でした。
お店の少し開いた窓から流れ出る音楽も素敵で吸い込まれるようにお店に入りました。いつか田中さんにお花を作ってもらったことがあり、とてもシックに束ねられ帰りの電車は もちろん、お家に帰ってからもしばらく グレーのラッピングがほどけずにいました。母のお誕生日にアレンジをお願いし バラが好きなことを伝えると、今までに見たことのないバラたちが お行儀よくアレンジされ、その香りの良さにも吸い込まれました。その時に使われていたアイビーは 今でも元気にのびています。
お店を閉じられた事は淋しいですがパリでのご活躍楽しみにしています。

ken tanaka:

mackyさん

ボクもそう思います。
必然とも言えるし、
自分次第で運命は変えていけるような気もします。

がんばらなくては、といつも思います。

ken tanaka:

しずくさん

コメントありがとうございます。
ご来店してくださっていたようで、
それを聞くと、今でもとってもうれしいです。

あのお店での時間があったから、
今のボクがあります。
あのお店で、たくさんの人たちと出会って、
たくさん教えて頂きました。

だから、みんなのためにも、
がんばりたいと思います。

また、覗いてください。


フリージア:

この季節、うちのお庭にはフリージアがたくさん咲いています。私はフリージアの香りがお気に入りでお部屋の至る所にかざっています。
以前、大切な人からフリージアの花束をいただいたことがあるのですが それが田中さんのお店の花束でした。フリージアがいつもの顔ではなく素敵なドレスを着たかのように素敵な花束となって自慢気に香っていました。 ほんとに素敵な花束でした。今日行った苦楽園のカフェにもフリージアがかざられていて 花束のことを思い出しました。とても素敵な田中さんのお花、パリ日記でたくさん披露してくださいね。たのしみにしています。

ひよっこ姉妹:

初めてコメントします。わたしは花屋で働いています、わたしの大好きなおねえさんは、関西に住んでいた頃苦楽園が大好きだといっていました。夙川でぼーっとしてパンを食べるのも好きだったし、大好きだった人とお別れした時、身投げしようと思ったのも夙川だったし、(でも水が少なかった)と今では笑ってますが。
おねえさんが初めて田中さんのお店に訪れた時、お店でオペラがかかっていたといってました。あまりに素敵なお花屋さんで緊張したともいっていました。

残念ながら妹のわたしは田中さんが作るお花を目にすることはできませんでしたが、いつか田中さんの作るお花をみてみたいです。パリのお花屋巡りを姉としたいです。

素敵なお花をこれからも届けて下さい。

pistachio:

tanaka-san:
「見た目のお洒落ばかりが先行した仕事とは違い…
繊細で分かりにくい物は、誰にでもつくれるけれど、それでは花屋が花屋である意味が無い」
どんな仕事/人間にでも当てはまるような気がして身の引き締まる思いがしました。プロであること、本物であること、いっぱしの男性/女性であること。小さなプロセスの連続体が夢に化ける瞬間。夢の大小に関わらずそういう瞬間を感じ取れる人間でいたいと思います。

ken tanaka:

pistachioさん

こんにちは。
ボクの言葉足らずな文から、すべてを拾ってくださって
ありがとうございます。

そうです、本当に。
とは言え、なかなか難しいものです。口には出来るのですが。
いろんな事との葛藤もあり、自分に負けそうな時もあり。
でも、ここでいいと思ってしまえば、
そこがゴールになります。

出来る事なら、花屋であるうちは、
自分でその限界は作りたくないものです。


you:

kenさん、お久しぶりです☆
お元気ですか?
お花のお話・・とてもビックリしてしました!!
ビックリというより、感動という感じですが。。
長い時間をかけて・・
ひとつの夢を実現させてkenさん、
とてもステキです☆
kenさんの日記を読んでいると・・・
とても手際よく、一輪一輪愛情込めてお仕事されているのかなぁ?と伝わってきます☆
忙しくても、手際よくきちっとお仕事することって大切ですよね。。
ところで、写真の方はkenさんですか??
初坊主姿拝見できて、うれしいです♪
日本に居たときにお会い出来なかったのは残念でしたが、いつかパリでお会いできる日を楽しみにしています♪

ken tanaka:

youさん

その坊主は、まさにボクであります。
しかも写真の頃は、思いっきり中途半端な長さで、
お洒落な花屋で働くに、申し訳ないほど
野暮ったい頃でありました。
最近、ようやく少し伸びて、
無造作お洒落ヘアーを目指しています。


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April 18, 2008 6:28 EMに投稿されたエントリーのページです。

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